変なの書かないで!

ひとりごと日記

「ちゃんと書いてよ、変なの書かないで!」

これは私が小学校4年生の時、当時流行っていた交換日記を受け取った友達の言葉です。交換日記というのはメインとしてフリースペースがあり、その隅に「良いニュース」「悪いニュース」「マイブーム」など細々とした欄が用意されている物です。

私はこの欄がひどく苦手でした。なぜなら「良いニュース」も「悪いニュース」もフリーペースに書くに決まっているのだから内容が重複してしまうからです。どうしてこんな構成にしてしまったのか。やっぱり大人は交換日記などしたことが無いから、書く側の気持ちなどわからないのだと子供ながらに不満を募らせました。

私はしかたなく、フリースペースでは書いていない「良いニュース」「悪いニュース」のネタを振り絞りましたが「マイブーム」なんてものはそんな毎日新しく訪れるはずも無く、私はとうとうメイン以外の全てのスペースいっぱいに犬の絵を書き込みました。

できるだけきっちり詰めて、犬は1スペースに6匹ずつ収まりました。

そしてそれを受け取った友達が言ったのが冒頭の言葉です。対する友達は全ての欄が重複していようと許されるほどの「ネタ」を持っており、私は言い返す事ができませんでした。

そのネタとはズバリ「恋バナ」であり、それを持っている子の元には沢山の交換日記が集まりました。好きな人がいる子はヒエラルキーが高く、好きな人がいない私は「つまんない子」として認定されたのでした。

しょうがなく反省した私は「良いニュース」「悪いニュース」をメインに書き込み、フリーペースに大きな犬の絵を描き込んだのでした。

友達はそれを見てあきらめたように何も言わなくなり、もう一人の友達は後日まっしろな自由帳を用意して私に渡してくれたのでした。

私はまっしろのノートに沢山の犬の絵を描き、友達もそれに続いてアニメの模写を描きこみました。そのノートは何冊にも渡りやり取りされ、純粋に交換日記というものを楽しむ事が出来たのでした。